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残響



工房は高台の雑木林の中にあります。富士山も夕日も みえる 良い気が流れています。

そういえば昔、ある初夏の午後、工房の雑木林の中に壷を見つけ、覘いた。

中には雨水が溜まっていた。

水面は、色素の抜けた梅や桜の花びらが浮いていた。

底には未だ赤みがかっている紅葉が沈んでた。

この雨水は何回の四季が入り混ざったものだったのか。

紅葉たちが絨毯の代わりとなって、黄緑色の美しい小鳥が一匹沈んでいた。

美しかった。

何故この壺のなかで永遠の眠りについているのか、その経緯はわからない。

進行形で腹部を虫にくわれていて、何となく可哀想だった。

気づけば私の手が小鳥をすくっていた。

ムサビ時代の骨部の経験を活かし、腐肉処理をして骨を漂白した。

標本にしようかと迷ったが、小さなステンレス缶に入れて、土へ埋めることにした。

黄緑色の美しい尾羽だけ、一輪挿しの花瓶と共に、部屋に飾っている。

壺のなかの小鳥と出会った瞬間のことを、ときどき思い返す。

ああいう場面に出くわした時、どうしたらよかったのかが分からない。


© Aiko Yamamoto

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