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極地



天然染料は、うまく染めれば染めるほど、嘘みたいな色に近づく。きのう、染色化学の先生が教えてくれた。

例えば紅花で上手く染めると、嘘みたいに鮮やかなサーモンピンクになる。

藍にしても、本当に上手くそめると、嘘みたいなブルーになるそうだ。

つまり むなしいことに、うまく染めるほど「化学染料で染めたのでは?」と疑われる。

そして驚く事に、天然染料で完璧に染めたとき、その化学式は人工染料と同じだという!

つまり天然染料の極地は、人工染料ということになる。似てる、とかではなく、完全なイコールである。

その差異を論理的に述べられている学者は未だ居ない。論文にさえ「自然の息吹」だとか「深みある風合い」なんて曖昧な言葉で、天然と人工の違いをのべている。

「天然染料にこだわりました」という言葉の無意味さ、オーガニックを崇拝する宗教性など、思うところはいろいろ。

私としては、自然を外側から観察して内側へ向かうのが人工で、自然の内側から体感して外側へ染め上げるのが天然、といったイメージ。人間の指先が神なのか、大地に神が宿るのか、そんなイメージの違い。で、それが結局イコールという事実。本当に、この世はいたずらみたいな世界だ。


© Aiko Yamamoto

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